たった一言でコンテスト
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受賞 第9回「たった一言で」コンテスト 元気になったで賞 (代表作品&受賞者2名の発表)

「俺の好きな半熟卵が心の中で出来上がりますように」 福井県福井市 やま 様

小学6年のとき、私は本当によくキレる子供でした。
先生方に迷惑をかけたと今思い出しては反省するぐらいです。

些細なことでも気に入らなければ反抗し「うるさい」と暴言を吐く。
ちょっと注意されただけで「は?」と睨み「むかつく」と捨て台詞を言う。

ときには完全無視。

腹の立つ理由を聞かれても困るのですが、とにかく無性に意味のない怒りが絶えず私の腹の中にふつふつと湧いていたのです。

そんな私に対して担任は諦めることなく何度も指導をし、ときには声を大きくして感情を出し、ときには優しく褒め、ときには全く関係のないくだらない話をして盛り上げようとし、一生懸命に接してくれました。

そこまでしてくれていたにも関わらず私の態度は全く変わらず、絶えずおさまらない怒りを担任にぶつけていました。

そのままの状態で卒業を迎えることとなり式の前日、私は担任に放課後呼ばれました。

何度か呼ばれその度毎に注意を受けてきたので、正直「またか」という気持ちしかありませんでした。

すると担任はなぜか私に『ゆで卵』を差し出し
「まあ、まあ、一緒に食べようじゃないか」と言うのです。

思わず「は?意味不明」と答え、ゆで卵を受け取らず帰ろうとすると、担任はゆで卵にヒビを入れ殻をむきながら
「俺ね、一番好きな食べ物、ゆで卵なんだ。子供のときからずっと」。
一方的に話しながらきれいに剥いていきます。

「特に半熟が良い。黄身が半分とろってしてるとこ。あれ最高」
もう、担任はゆで卵に夢中です。きれいに剥けたゆで卵に顔は満足気。

そして手でゆで卵を半分に割り、
「やったあ、半熟だ」
と無邪気に笑ってパクッ、パクッと一気に食べたのです。

自分の世界に入り込んでいる担任を私はただ、呆然と見ていました。
すると、最後担任は私の方を見ながら笑って

「腹立つことがあったらさ、心の中に卵をそっと入れてほしいんだ。 怒りの温度が高すぎると玉子は固ゆでになっちゃうからさ、俺の好きな半熟ぐらいになるように、怒りの温度を抑えてくれないかな。 腹立つことはいっぱいあるかもしれないけどさ。」

「俺の好きな半熟卵が心の中で出来上がりますよう、お願い致します」

と言うのです。思わず笑ってしまう私。

それ以来20年以上ずっと、私の心の中には、腹の立つことが起きると自然と心の中に鶏がやってきて、ポトンと卵を落としていくのです。

その卵を私は決して固ゆでにならないよう、担任の好きな半熟になるよう、自分の主張はしながらも決して感情的にはならず怒りは抑えめを心がけています。

そうすると自然と相手の意見も穏やかに聞くことができるのです。

「先生、ありがとう。美味しい半熟卵、できてますよ」

受賞者発表(敬称略)

  • 福井県福井市 やま(36才 女性)
  • 池田学園池田小学校 マリオットななこ

第9回「たった一言で」コンテスト 他の受賞作品はこちら!

  • プチ紳士・プチ淑女賞
  • いい言葉で感動した賞
  • こころぽかぽか賞
  • ちょっといい話で賞
  • ハッピー賞
  • こころにビタミン賞
  • ハートフル賞
  • 元気になったで賞
  • スマイル賞
  • ホスピタリティ賞
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