たった一言でコンテスト
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受賞 第8回「たった一言で」コンテスト プチ紳士・プチ淑女賞(代表作品 & 受賞者1名の発表)

「大丈夫、たのんでください」 京都府南丹市 西川 勝美 様

それは今から40年前、私が小学校5年生の時の6月、小雨の降る日でした。

姉と祖母の3人で京阪電車に乗っている時のこと、重い機能障害を持って生まれた姉も14歳となって、長年の機能訓練のおかげか、車椅子が無くてもゆっくりであれば、介助者といっしょに外出ができるようになっていました。
ただ、知能は3歳児位で成長が止まったままであったため、喜怒哀楽の表現は激しく、大きな幼児であることに変わりはなく、パニックを起こすと祖母と私の力だけでは難しいことも多くありました。
それでも長年の家の中だけの生活から、たくさん外出できるようになって、私は本当に嬉しく、外出の時は、祖母が少し綺麗になって、甘いものなども買ってくれるのが本当に楽しみでした。

その日、京都市から宇治へ帰る電車の中で、姉が「おしっこ」と言い始め、私達は途中下車をしてトイレを借りようと決めたものの、いざ下車をするとなると、本降りとなり始めた雨の中、姉の両脇を抱え、短い停車時間でホームへ移動するには、傘を持つ余裕などとても無く、雨にぬれた姉がパニックを起こすのではないかと心配でした。
そんなことを祖母と話ながらドアの横で下車の準備をしていると、近くに座っていた大学生くらいの青年が、突然「僕、次ちょうど降りますし、傘大きいから、いっしょにいきましょう」と私達の傍にきてくれました。

「ご迷惑はかけられません。この子(私)にも練習なので」

と、断ろうとする祖母の言葉をさえぎるように、

「みんな手伝いたいと思っていると思いますよ。」

大丈夫。たのんでください。手は3本ないから。1本かりなきゃ」

その後、改札口まで見送ってくださった青年の優しい瞳を今もはっきり思い出せます。あれから40年、いったい何本の手をおかりしてきたことか、勇気を出してお願いをしなくてはならないとき、いつも思い出す私の大切な原風景です。

受賞者発表(敬称略)

  • 京都府南丹市 西川 勝美 (52才 女性)

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  • プチ紳士・プチ淑女賞
  • いい言葉で感動した賞
  • こころぽかぽか賞
  • ちょっといい話で賞
  • ハッピー賞
  • こころにビタミン賞
  • ハートフル賞
  • 元気になったで賞
  • スマイル賞
  • ホスピタリティ賞
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